◎◎紹介記事◎◎
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『芸術新潮』(新潮社) 2008年4月号,通巻700号


◆コラム:きく◆ *執筆者:野村誠(作曲家)
「DVを弾く-野村誠『インテルメッツォ(間奏曲)』」

      


 コンテンポラリー・ダンスの手塚夏子さんが、ぼくのピアノ曲「Intermezzo(インテルメッツォ)」(→注①】正確な曲名は下の注)を聴いて、この音楽で作品を作りたいと言う。振付家の白井剛 さんも、昨年この曲でダンスを発表した(→注②】下に公演データあり)。アメリカで映像作品に使われるなど多くのアーティストを刺激するこの曲は、実はアートとは全く違った文脈で作曲された。

 草柳和之さんは、ドメスティック・バイオレンス(DV)に取り組むカウンセラー。暗い話題ばかりのDV関連のシンポジウムに一石を投じたいと、DV問題を音楽で訴えることを考えた。DVをテーマに、アマチュアでも弾けるシンプルなピアノ曲を作曲して欲しいという依頼だった。

 これには正直困った。被害者の壮絶な体験を音楽で代弁できるのだろうか? と悩んだ。悩みに悩んだ末、DVは他人事ではなく、自分自身の問題でもある、と発想を転換した。 コミュニケーションが行き違い、人が人を傷つける悪循環に陥る。それは、誰にでも起こり得ることで、特殊なことではない。ぼく自身の傷つけたり傷つけられた体験を意識の底に探しにいくように、作曲を開始した。そうして創った曲に、DV被害者の方々も共感してくれた。

 カウンセラーが楽譜の出版に携わり、精神科医の紹介でCDが発売になった音楽を、多くのピアニストが演奏会でも取り上げてくれている。と同時に、草柳さん自身も、講演会で、この曲を弾き続けている。


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注①
ここでの「Intermezzo(インテルメッツォ)」は略されたもので、正確な曲名は以下になります.
DVがなくなる日のための「インテルメッツォ(間奏曲)」』
 (英語名:Interlude for Days without Domestic Violence)


【注②:公演データ】
「川崎市アートセンターオープン記念公演」(野村誠-白井剛)×21=
 @新百合が丘 新百合21ホール(2007/9/17-18 3ステージ)
 http://shinyuri21hall.jp/ 
 主催:財団法人川崎市文化財団 企画制作:NPO法人 アートネットワーク・ジャパン
 出演: 野村誠、白井剛、あいのてさん、 鰐婆伶(ワニバレエ 白井剛)、他


「顔と顔カフェ」
2008年12月6日(土)14:00〜
ゲスト:野村 誠(作曲家/演奏家)
ホスト:手塚夏子(ダンサー/振付家)
会 場:篠原の里(JR中央線藤野駅)
 ★当日のレポートについては、こちら→http://natsukote-info.blogspot.com/search/label/%E8%8D%89%E6%9F%B3%E5%92%8C%E4%B9%8B


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